作品別ガイド(ガンダムシリーズ)

機動戦士ガンダム 水星の魔女 メディア完全ガイド【アニメ・外伝・小説・世界観まとめ】

学園×ガンダム×企業――前例のない組み合わせで、ガンダムシリーズの常識を一新した『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。

女性主人公スレッタ・マーキュリーの成長と葛藤、そして舞台となるアスティカシア高等専門学園で繰り広げられる人間関係や企業間の権力闘争。
それらすべてが緻密に絡み合い、従来の「戦場」とは異なる、新たな“戦い”の形を描き出しました。

本記事では、TVアニメの本編はもちろん、小説版や外伝・漫画など幅広いメディア展開も網羅。
キャラクターやモビルスーツの紹介に加え、視聴順・読書順のガイド、よくある疑問にも丁寧に答えながら『水星の魔女』の全体像をわかりやすくお届けします。

これから観ようと思っている方も、すでに心を奪われた方も、ぜひこの“魔女の世界”を深く楽しむ手助けにしてください。

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1. 水星の魔女とは

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、2022年に放送されたTVアニメで、「ガンダムシリーズ」では異例の女性主人公を迎えた完全新作です。

ガンダムシリーズ初の「学園」×「企業」構造

物語の舞台は、ベネリットグループという巨大企業体に支配された世界。
その中でMS(モビルスーツ)開発に特化した専門学校「アスティカシア高等専門学園」が中心となり、主人公たちは“MSを使った決闘”によって企業間の勢力図さえ変動する社会に巻き込まれていきます。

この「学園バトル」と「経済・政治の暗躍」という二重構造が、本作のユニークな魅力となっています。

主人公・スレッタと“魔女”の意味

主人公のスレッタ・マーキュリーは、辺境の地・水星から学園へ転入してきた少女。
彼女が搭乗するモビルスーツ「エアリアル」はあまりに強力で、禁忌の技術が使われた「ガンダム」なのではないかと疑われます。

本作での「ガンダム」は、宇宙世紀のそれとは定義が異なり、人体に影響を与える技術を備えた“リスクのある兵器”という扱いをされています。

スレッタはなぜ水星から来たのか、エアリアルとは何者か。
物語は徐々にその謎を明かしつつ、登場人物たちの運命を加速度的に変えていきます。

テレビアニメ第1期・第2期の放送と構成

  • 第1期:2022年10月〜12月(全12話)
  • 第2期:2023年4月〜6月(全12話)

計24話構成で、1期と2期で物語の色調やテンポが大きく変化するのも特徴です。
前半は学園青春ものに見えつつ、後半は一気に企業・戦争・復讐といった重厚なテーマが浮かび上がり、シリーズファンからも高評価を得ています。


2. ストーリーと世界観

2.1 あらすじ(1話までの範囲)

宇宙開発が進み、地球と宇宙の経済格差が深刻化した未来。
巨大企業体「ベネリットグループ」がMS開発と宇宙インフラを牛耳る中、水星出身の少女スレッタ・マーキュリーは、「アスティカシア高等専門学園」へと転入してくる。

その学園では、学生同士の「モビルスーツ決闘」が、企業や政治の力関係さえも左右する重要な儀式となっていた。
到着早々、スレッタは偶然出会った少女・ミオリネ・レンブランを守るため、愛機「エアリアル」に搭乗し、決闘に参加することとなる――。

そしてここから、学園の中だけでなく、企業、軍事、家族、人体技術といったあらゆるテーマが交錯する壮大な物語が始まっていく。

2.2 アスティカシア学園とベネリットグループの関係

舞台となる「アスティカシア高等専門学園」は、ベネリットグループによって設立された教育機関。
学生たちは、MSパイロットだけでなく、企業経営・開発・軍事・情報などあらゆる専門を学ぶエリート候補として育成されている。

学内では“決闘委員会”によって統制された「モビルスーツ決闘」が制度化されており、
MSの操縦能力や戦術によって「地位」や「婚約者」さえも決定されるという、極めて特殊な権力構造が存在する。

これにより、戦いが単なるスポーツではなく、企業や政治的立場そのものを動かすツールとして描かれているのが特徴的です。

2.3 ガンダムとは何か――GUNDフォーマットと“魔女”

本作において、「ガンダム」とは特定の外観や武装を指すのではなく、「GUNDフォーマット」という生体拡張技術を搭載したMSを意味します。
これはもともと医療・福祉技術として開発されたもので、義肢や神経接続による自由な操作を可能とする一方で、人体に過剰な負荷を与えるという副作用がありました。

この技術を搭載したMSは、やがて軍事転用され始め、政治的・倫理的問題に発展。
そのため、GUND搭載機=GUND-ARM(ガンダム)=危険な兵器と見なされ、「開発禁止」の暗黙ルールが敷かれるようになります。

こうした技術に関わる者たちは、「魔女」と呼ばれ、差別・排除の対象とされていくのです。

スレッタの機体「エアリアル」もまたGUNDフォーマットを搭載した「ガンダム」であり、物語はこの“タブー技術”を巡る陰謀と倫理の葛藤を軸に進んでいきます。


3. 主な登場人物

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、キャラクター同士の関係性や対立構造が物語の推進力となっており、どの人物も明確な立場と目的を持っています。ここでは、中心人物を軸にその特徴や関係性を紹介します。

スレッタ・マーキュリー

本作の主人公。水星からアスティカシア学園へと転入してきた少女。
内気で人との距離を測りかねる一方、信じる者のためには大胆な行動に出る一面も持つ。

彼女が操るモビルスーツ「エアリアル」はGUNDフォーマットを搭載しており、物語の中心的な鍵を握る存在。

スレッタは「逃げたら一つ、進めば二つ」という母の教えを信じて行動するが、その信条は物語の進行とともに揺らいでいくことになる。

ミオリネ・レンブラン

スレッタのルームメイトにして、学園理事長の娘。
ベネリットグループ総帥デリング・レンブランの一人娘であり、形式的には“決闘の勝者の婚約者”という立場に置かれている。

才色兼備で行動力に富み、地球への強い関心と独立志向を持つ。
物語の中でスレッタと深く関わっていくが、単なるヒロインではなく、“もうひとりの主人公”ともいえる役割を担っている。

グエル・ジェターク

ジェターク社の御曹司で、学園のトップパイロットのひとり。
初期は傲慢な性格が目立つが、敗北と挫折を重ねる中で徐々に人間的な成長を遂げる。

ガンダム作品の中でも珍しい“成長型ライバル”として多くの視聴者に支持されている。

エラン・ケレス

ペイル社が送り込んだ存在。
ファラクトを操縦するが、その裏には企業による非人道的な秘密が隠されている。

作中では「強化人士」という技術的背景も示唆され、人間性とテクノロジーの対立という大きなテーマにも関わる人物群である。

シャディク・ゼネリ

グラスレー社のエリートであり、学園内では一見紳士的に振る舞うが、裏では暗躍する野心家。
実は地球出身であり、地球と宇宙の格差問題にも独自の思想を持っている。

その行動原理は「正義」か「野望」か――物語の中盤以降、大きな波紋を呼ぶ存在。

ノレア・デュノク、ソフィ・プロネ

第2期から本格登場する地球側の戦力。
ともに“反地球連合派”の少年兵として登場し、MSの操縦技術は一級品。

感情の制御が効かず暴走する一方、非常に繊細な面も持ちあわせており、戦争に巻き込まれる“子どもたち”の悲しみを象徴する存在。

4. モビルスーツ紹介

『水星の魔女』に登場するモビルスーツ(MS)は、企業ごとに明確な設計思想とコンセプトが異なり、ビジュアル面でも機能面でも非常にバリエーション豊かです。ここでは、物語の鍵を握る代表的なMSを紹介します。

ガンダム・エアリアル

スレッタ・マーキュリーの搭乗機であり、本作を象徴する機体。
GUNDフォーマットを搭載し、“ガンダム”に分類されるMS。
だがガンダム特有の「操縦者への負荷」が見られないなど、他のガンダムとは異なる点が見られる。

最大の特徴は「エスカッシャン」と呼ばれる浮遊型端末群で、攻防の両面で圧倒的な性能を発揮する。
その挙動は時に“自律的”とも思える動きを見せるが、その秘密は物語の核心に深く関わっている。

改修型(エアリアル改修型)ではさらなる能力を獲得し、終盤の戦闘を大きく左右する。

ガンダム・ファラクト

エラン・ケレス(強化人士)が搭乗するガンダム。
狙撃・高速突進を主体とした設計で、ビーム兵器や姿勢制御装置が非常に特徴的。

機体自体の性能は非常に高いが、操縦には人体への大きな負荷がかかり、パイロットの“消耗品”的扱いも示唆される。

ガンダム・ルブリス

物語冒頭に登場する「ルブリス」は、かつて開発されたGUNDフォーマット搭載MS。
過去の事件「ヴァナディース事変」にも深く関与し、後に登場する「ルブリス・ウル」や「ルブリス・ソーン」などの改良型が戦場を駆ける。

これらの機体は、「PROLOGUE」や外伝でも重要な役割を果たしている。

ダリルバルデ

グエル・ジェタークの主力機。
重装甲・近接戦に特化した設計で、パワー重視の企業カラーを反映している。

当初は「勝ち組の象徴」のように描かれていたが、物語の進行により“人間の成長と再起”の象徴にも変化していく。

デミトレーナー

アスティカシア学園内で広く使われている訓練用モビルスーツ。
訓練機としての汎用性が高く、高い操縦性と整備性、拡張性が備わっている。


5. メディア展開ガイド

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、TVアニメを基軸としつつ、小説・漫画・外伝など多方面に展開されています。
ここではその主なメディア展開を紹介します。

5.1 TVアニメ本編

アニメ本編は以下の2期構成で放送されました:

  • 第1期:2022年10月~12月(全12話)
     スレッタの学園生活の始まりと、ガンダムをめぐる企業の動きが描かれる。
  • 第2期:2023年4月~6月(全12話)
     物語の舞台がより“戦争”へと傾き、人間関係や世界の構造が大きく揺らぐ展開に。

物語は1期・2期で完結していますが、終盤にかけてのテーマの重厚さと結末の余韻は、再視聴や他メディアを通じた深掘りを促す仕上がりになっています。

これらとは別に、前日譚となる「PROLOGUE」も公開されています。
一部配信サービスで視聴することもできます。(例:Amazon Prime Videoなら「特典映像」から視聴可能)

5.2 小説・コミック・外伝作品

TVアニメでは描ききれなかった設定や補完ストーリーが、活字・コミックで展開されています。特に以下の作品はファン必読の内容です。

ゆりかごの星

ゆりかごの星 – 機動戦士ガンダム 水星の魔女 公式サイト

シリーズ構成や脚本を手掛けた大河内一楼氏による小説作品。
オープニングテーマ「祝福」の製作にあたって原作小説として書き下ろされた。
本編開始前の、ガンダム・エアリアルから見たスレッタの成長が描かれた物語。

公式サイトで閲覧可能なほか、YouTubeにてスレッタ・マーキュリー役の市ノ瀬加那さんによる朗読を聞くことができる。

機動戦士ガンダム 水星の魔女(小説)

機動戦士ガンダム 水星の魔女 メディア完全ガイド【アニメ・外伝・小説・世界観まとめ】

TVアニメ本編の脚本をベースにしつつも、アニメにはない登場人物の心理描写や背景設定が深く描かれている小説版
スレッタやミオリネの心情の動き、各企業や技術者の思想など、アニメではセリフとして明かされない内面が丁寧に補足されています。
新キャラクターも登場するオリジナルエピソードも収録。

機動戦士ガンダム 水星の魔女 ヴァナディースハート(コミックス)

TVアニメ以前の世界を描く外伝コミック作品。
ベネリットグループ内の対立や、“GUNDフォーマット”の初期開発者たちの動向など、本編の設定をより深く理解できるストーリーが展開されます。

特に、GUND技術がいかにして“魔女”のレッテルを貼られるに至ったか、その経緯が描かれている点で、設定派ファンに強くおすすめです。


6. 水星の魔女が与えたインパクト

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、単なるシリーズの最新作という枠にとどまらず、ガンダムの長い歴史に新たな風を吹き込んだ作品として高く評価されています。

ここでは、その主なインパクトをいくつかの側面から紹介します。

女性主人公という新たな選択

スレッタ・マーキュリーという少女を主人公に据えたことは、ガンダムシリーズとしては大きな転換点でした。
もちろん過去にも強い女性キャラクターは多数登場してきましたが、「ガンダムに乗る主役」であり、「物語の主軸そのもの」となる女性キャラ は初。

このことで、従来の視聴層に加えて、若年層や女性視聴者からの関心も集まりました。
また、スレッタがいわゆる“完璧なヒーロー”ではなく、不器用で悩みを抱えたキャラクターであることも、多くの視聴者に共感を呼んでいます。

社会問題と倫理の描写

“兵器としての人体改造技術(GUND)”、“経済格差と支配構造”、“企業と人間の道具化”といったテーマは、SF作品としても非常に重層的で、現代社会の問題を強く想起させます。

とくに第2期にかけては、「命とはなにか」「家族とは」「生きるために“進む”とはどういうことか」といったテーマにまで踏み込んでおり、視聴後に深く考えさせられる内容となっています。

キャラクター関係と“百合的”読解

スレッタとミオリネの関係性は、単なる友情でも恋愛でも片付けられない、複雑で多層的なものです。
視聴者の間では「百合(ガールズラブ)的要素」としても注目され、ガンダム作品の中でも新しいファンダムを形成しました。

一方で、この関係性が物語に直接的なロマンスとして描かれるのではなく、キャラクターの生き方や価値観を通じて展開されている点も、多くの支持を集めた要因です。

海外展開と反響

『水星の魔女』は、日本国内だけでなく海外でも高い評価を得ました。北米をはじめとする海外ファンの間では、「女性主人公ガンダム」「政治と学園SFの融合」という点が新鮮で、SNSやレビューサイトでも話題に。

字幕・吹き替えの対応の充実もあり、ガンダムシリーズを初めて観る海外ユーザーの入り口としても機能しました。

以上のように、『水星の魔女』は単なる1作品にとどまらず、シリーズの革新と拡張、そして視聴者との新しい関係性を築いた存在です。


7. よくある質問と視聴・読書順ガイド

『水星の魔女』を視聴・読書するにあたり、よく寄せられる質問や疑問点をまとめました。これから作品に触れる方や、より深く理解したい方は参考にしてみてください。

Q1. 『水星の魔女』は宇宙世紀シリーズと関係がありますか?

いいえ、本作は「アド・ステラ(A.S.)」という完全に独立した年表・世界観で構成されています。
宇宙世紀(U.C.)をはじめとする過去のシリーズとは直接的なつながりはなく、『SEED』『00』『鉄血』と同様の“パラレルワールド”作品です。

そのため、ガンダムシリーズを初めて観る方でも問題なく理解できます。

Q2. 「水星の魔女」におけるガンダムの定義は?

『水星の魔女』では、「GUNDフォーマット」という技術を搭載したモビルスーツが“GUND-ARM(ガンダム)”と呼ばれます。
これは他シリーズにおける「頭部のV字アンテナがあるエース機」や「白いMS」などとは異なる分類で、**倫理的・技術的観点から規定された“危険視される存在”**です。

この独自定義は、物語上の差別や対立の構造にも深く関わっています。

Q3. 外伝や小説も読むべき?順番は?

本編アニメだけでも物語は完結しますが、より深く理解したい方には以下の順での視聴・読書がおすすめです。

1. TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第1期(1〜12話)

まずはスレッタとミオリネの出会いから、学園内の勢力構図、ガンダムの存在などを把握しましょう。

2. TVアニメ第2期(13〜24話)

物語が一気に政治・戦争へと展開します。第1期で積み上げたキャラ関係が大きく動きます。

3. 小説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

アニメの補完的役割を果たしており、心理描写や裏設定が詳しく描かれています。

4. 外伝コミック『機動戦士ガンダム 水星の魔女 ヴァナディースハート』

アニメ前日譚にあたるストーリー。GUND技術の始まりや企業間の暗闘を知ることができます。

順番にこだわりすぎなくても楽しめますが、本編を観たあとに小説・外伝を読むことで理解がより深まる構成となっています。

Q4. グッズやプラモデルに手を出すならどこから?

人気の高い「HG ガンダム・エアリアル」は入門向けとしておすすめです。
ほかにも「ダリルバルデ」「チュチュ専用デミ・トレーナー」「ガンダム・ファラクト」など、劇中で印象深い機体が続々と商品化されています。
設定画やデザインの完成度が高く、プラモとしても非常に組みごたえがあります。


8. まとめとおすすめの楽しみ方

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、学園ドラマ・企業戦争・家族の物語・技術と倫理といった、非常に多層的なテーマを内包したガンダムシリーズの革新的作品です。

女性主人公スレッタ・マーキュリーを中心に、戦いだけでなく「人との関わり方」や「進む勇気」といった内面の成長が描かれる本作は、従来のシリーズファンだけでなく、新しい世代にも広く支持されています。

また、TVアニメ本編に加えて、小説や外伝コミックといった各メディア展開を追うことで、より豊かな世界観とキャラクターの深層に触れることができます。

おすすめの楽しみ方

  • 初めての方は、まずTVアニメ第1期から視聴し、キャラクターの魅力と物語の世界に慣れましょう。
  • 続けて第2期を通しで見ることで、シリーズ全体の流れをしっかりと把握できます。
  • より深く理解したい方は、小説版や『ヴァナディースハート』などの外伝を読むことで、技術や歴史的背景、登場人物の真意に迫ることができます。
  • 気に入ったモビルスーツがあれば、プラモデルや公式ガイドブック挑戦してみるのもおすすめです。

『水星の魔女』は独立した作品なので、過去のガンダムシリーズを知らない人でも取っつきやすい作品です。
初めてのガンダムとして水性の魔女を見た人でも、これをきっかけにガンダムの過去作品に興味を持った方も多いはず。
ガンダムの世界は広く、深く、そして自由です。ぜひ、あなただけの“ガンダムの入口”として本作を楽しんでみてください。

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